いびきの話
犬の短頭種気道症候群をご存知ですか? いびきやガーガーという鼻の短い犬の呼吸の病気…
短頭種?
- イングリッシュブルドック
- フレンチブルドック
- ボストンテリア
- パグ
- ペキニーズ シーズー
- ボクサー
- キャバリア
原因は?
- 軟口蓋過長症
- 外鼻孔狭窄(鼻の穴が狭いこと)
- 気管の低形成や狭窄(生まれつき気管に変形や細いところなどがあること)
- 咽頭小嚢の外反(のどを形成する軟骨の一部が変形してしまうこと)や口頭蓋の虚脱

こういった生まれつきの呼吸がしにくいという特徴をもちながら、昼夜を問わず毎日毎日呼吸を繰り返している短頭種たちは、 呼吸のための筋肉(呼吸筋)の使用頻度がほかの一般の犬種に比べて必然的に多くなってしまいます。 例えば、皆さんがホースを口にくわえて、そのホースの穴だけで呼吸することを想像してみてください。 おそらく、大きく肺をひろげたくさんの息を吸い込むために、上半身の多くの筋群を使って呼吸せざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか? 普段の呼吸と比べてみてください。 短頭種たちは、毎日毎日、起きているときも寝ているときもこのようなたくさんの筋肉を、過度に使った呼吸法を強いられています。 そしてそれらの筋肉が常に活動しつづけ、休むことができない状態がずっと続きます。そして、その結果、
呼吸器筋群の疲労・変性・破綻(呼吸をするための筋肉が機能を失ってしまうこと) を起こして、呼吸をするための筋肉が使えなくる、すなわち、呼吸をすることができなくなってしまいます。
短頭種に多い熱射病や突然死は、短頭種独特のこの呼吸の問題が原因の大部分を閉めていると考えられています。 若い時期にはあまり目立った症状がないかもしれませんが、この病気の怖い所は寝ている間も、呼吸をするたびにゆっくりと悪化していく所だといえます。 いびきや呼吸音に問題がない仔犬でも後に症状がでてくることもあり、若い時期よりいびきがあったりガーガーいう呼吸音が少しでも認められたら極めて要注意です。
治療や対応は?
この病気は先天的な形態や機能の異常によるもので、残念ながら現時点で完全な治療法はありません。 特に症状が進行してしまっている中年以上の短頭種犬の場合には、過度の運動をさけ、厳重に体重を管理していく以外に対応法はないといっても過言ではないでしょう。 若い時期(できれば2歳まで、遅くとも4歳まで)に、狭い外鼻孔を広げたり、長過ぎる軟口蓋の切除を施すことにより、完治は無理でも症状を緩和させ、 呼吸不全の発現をなくしたりその発症時期を遅らせることができることが近年わかってまいりました。
疑わしい症状がある場合には、若い時期に避妊手術や去勢手術とあわせて検査/手術をされることを強くお勧めいたします。
また、下に、実際の症例の手術前と直後の写真を示してあります。 鼻というのはとても大切なチャームポイントの一つですよね、特に、鼻孔の整形手術は特に気になるかと思います。 いくつかの手術法がありますが、手術後の美容の観点もふまえて最も適していると思われる方法で施術しております。 皆様はいかがお感じになられるでしょうか。 なお、術後に抜糸や通院あるいはご自宅での局所の処置などが必要ない方法で行っています。
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手術前
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手術後
軟口蓋を切除することにより、広がった気道
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手術前
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手術後
鼻孔の拡大手術の前後