腫瘍科について
腫瘍科の概要
腫瘍科は、犬や猫にできる「できもの」や「がん(腫瘍)」の診断・治療を専門とする診療分野です。
高齢化が進むなか、腫瘍は犬猫の死因として非常に多く、
- 犬では約50%
- 猫では約30%
が腫瘍によって命を落としていると報告されています。
腫瘍科では以下を重視して診療にあたります:
- 腫瘍の種類(良性・悪性)や進行度の判定
- 周囲組織への浸潤や転移の有無の確認
- ペットの年齢・体力・性格・生活環境なども考慮した治療提案
- 飼い主様の希望やライフスタイルに寄り添ったプランニング
ペットとご家族のQOL(生活の質)を大切にしながら、腫瘍と向き合っていきます。
代表的な腫瘍の例
腫瘍の種類 | 主な特徴と発生部位 |
---|---|
リンパ腫 | 全身のリンパ節が腫れる。犬猫どちらにも多くみられる。 |
乳腺腫瘍 | 高齢の未避妊メスに多発。犬では約半数が良性、猫では90%が悪性。 |
肥満細胞腫 | 皮膚や内臓に発生。かゆみ・腫れなどの症状を伴うことも。 |
血管肉腫 | 主に脾臓や心臓にできる悪性腫瘍。突然の出血で発見されることも多い。 |
骨肉腫 | 大型犬の四肢に発生しやすく、痛みや跛行が見られる。 |
主な検査方法
腫瘍の診断・治療計画には、多面的な検査が欠かせません。
1. 身体検査
- 視診・触診・聴診により、しこりの有無や全身状態をチェックします。
2. 細胞検査(細胞診)
- 細い針でしこりから細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
- 比較的簡便に実施でき、初期評価に有用です。
3. 組織検査(生検)
- 腫瘍の一部を外科的に採取し、病理検査に提出します。
- 腫瘍の性質や悪性度を詳細に把握できます。
4. 画像診断
検査項目
内容
超音波検査
腹部や皮下腫瘤の位置・構造を観察します。
レントゲン検査
胸部や骨の評価、肺転移や骨腫瘍のスクリーニングに有効です。
CT検査
腫瘍の正確な広がりや手術可能性、転移の有無を立体的に把握します。
5. 血液検査(全身状態の確認)
- 貧血、炎症反応、肝腎機能などの評価により、治療方針の検討や麻酔リスク評価に役立ちます。
6. 犬のがんに対する血液スクリーニング検査
Nu.Q® Vet Cancer Test(富士フイルム)
当院では、富士フイルムVETシステムズが提供する犬のがんスクリーニング血液検査も実施可能です。
この検査の特徴:
- 採血(約2mL)のみで実施でき、身体への負担が少ない。
- 血中に流れるがん細胞由来ヌクレオソームの濃度を測定。
- 専用抗体により、がんの早期兆候を客観的に可視化します。
- スクリーニング結果により、より正確な診断・治療計画や飼い主様との対話が可能になります。
科学的エビデンスに基づいた新しいツールとして、特に高齢犬やがんリスクが高い犬におすすめできる検査です。
腫瘍の診断・治療計画には、多面的な検査が欠かせません。
1. 身体検査
- 視診・触診・聴診により、しこりの有無や全身状態をチェックします。
2. 細胞検査(細胞診)
- 細い針でしこりから細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
- 比較的簡便に実施でき、初期評価に有用です。
3. 組織検査(生検)
- 腫瘍の一部を外科的に採取し、病理検査に提出します。
- 腫瘍の性質や悪性度を詳細に把握できます。
4. 画像診断
検査項目 | 内容 |
---|---|
超音波検査 | 腹部や皮下腫瘤の位置・構造を観察します。 |
レントゲン検査 | 胸部や骨の評価、肺転移や骨腫瘍のスクリーニングに有効です。 |
CT検査 | 腫瘍の正確な広がりや手術可能性、転移の有無を立体的に把握します。 |
5. 血液検査(全身状態の確認)
- 貧血、炎症反応、肝腎機能などの評価により、治療方針の検討や麻酔リスク評価に役立ちます。
6. 犬のがんに対する血液スクリーニング検査
Nu.Q® Vet Cancer Test(富士フイルム)
当院では、富士フイルムVETシステムズが提供する犬のがんスクリーニング血液検査も実施可能です。
この検査の特徴:
- 採血(約2mL)のみで実施でき、身体への負担が少ない。
- 血中に流れるがん細胞由来ヌクレオソームの濃度を測定。
- 専用抗体により、がんの早期兆候を客観的に可視化します。
- スクリーニング結果により、より正確な診断・治療計画や飼い主様との対話が可能になります。
科学的エビデンスに基づいた新しいツールとして、特に高齢犬やがんリスクが高い犬におすすめできる検査です。
治療方法
治療は腫瘍の種類や進行度、全身状態に応じて以下を組み合わせて実施します。
- 外科手術(腫瘍の切除)
- 化学療法(抗がん剤の投与)
- 放射線治療(一部の専門施設で実施)
- 免疫療法・分子標的薬の使用
- 緩和ケア(痛みや苦痛の軽減)
術後のサポートや痛みの管理にも力を入れており、QOL(生活の質)を重視した治療方針を心がけています。
手術の特徴と配慮
手術の種類や方法は、腫瘍の部位・性質・広がりによって異なります。
例:
- 乳腺腫瘍 → 乳腺の部分または全摘出
- 骨肉腫 → 前肢または後肢の断脚
- 脾臓腫瘍 → 脾臓摘出術
- 内臓腫瘍 → 開腹・開胸手術
また、CO₂レーザーメスなどの高度機器も使用し、出血や痛みをできる限り抑えた安全な手術を提供します。
術後は入院にて点滴・鎮痛管理・栄養ケアを行い、安心して回復していただけるようサポートいたします。
飼い主さまへのお願い
- 日々のスキンシップで気づいたしこり・腫れ・元気の低下などは、お早めにご相談ください。
- 乳腺腫瘍の予防には早期の避妊手術が有効です。
- 高齢や持病がある場合は、生活の質を大切にしたケアも選択肢としてご案内します。
腫瘍科では、他の専門科とも連携しながら、その子にとって最適な治療法を一緒に考えてまいります。
ご不安なことがあれば、どうぞ気軽にお尋ねください。
電気化学療法
(Electrochemotherapy, ECT)について
電気化学療法とは
電気化学療法(ECT)は、抗がん剤と電気パルスを組み合わせて行う新しい治療法です。抗がん剤を腫瘍組織に注入した後、腫瘍部位に電気パルスを加えることで、細胞膜に一時的な孔を作り、薬剤を効率的に細胞内部へ取り込ませることが可能となります。これにより通常より少量の薬剤で強い治療効果が期待でき、副作用を抑えつつ局所的な腫瘍制御を目指すことができます。欧米ではすでに広く臨床応用されており、日本国内でも徐々に導入が進んでいる治療法です。

対象となる腫瘍
電気化学療法は、特に外科的切除が難しい腫瘍や再発腫瘍、皮膚や粘膜に生じた腫瘍に有効性が高いとされています。犬や猫では以下のような腫瘍で適応が検討されることがあります。
- 皮膚腫瘍(扁平上皮癌、肥満細胞腫、悪性黒色腫 など)
- 軟部組織腫瘍(線維肉腫、血管肉腫 など)
- 口腔内腫瘍(切除困難な部位の悪性腫瘍)
これらの腫瘍に対しては、従来の外科手術では十分に切除が難しかったり、放射線治療の適応外となるケースが少なくありません。ECTはそのようなケースにおいて新たな選択肢となり得ます。
治療の流れ
1. 診断と評価
腫瘍の種類や進行度を検査し、ECTが適応となるかを判断します。画像検査(X線、CT、MRIなど)や細胞診・組織生検が必要となる場合があります。
2. 抗がん剤投与
腫瘍部位に直接、または静脈から抗がん剤を投与します。代表的な薬剤としてブレオマイシンやシスプラチンが用いられます。
3. 電気パルス照射
専用の電極を腫瘍部にあて、短時間の電気パルスを加えます。これにより細胞膜の透過性が高まり、抗がん剤の取り込みが促進されます。
4. 経過観察
治療後は腫瘍の縮小や壊死の有無を確認し、必要に応じて複数回の治療を行います。
1. 診断と評価
腫瘍の種類や進行度を検査し、ECTが適応となるかを判断します。画像検査(X線、CT、MRIなど)や細胞診・組織生検が必要となる場合があります。
2. 抗がん剤投与
腫瘍部位に直接、または静脈から抗がん剤を投与します。代表的な薬剤としてブレオマイシンやシスプラチンが用いられます。
3. 電気パルス照射
専用の電極を腫瘍部にあて、短時間の電気パルスを加えます。これにより細胞膜の透過性が高まり、抗がん剤の取り込みが促進されます。
4. 経過観察
治療後は腫瘍の縮小や壊死の有無を確認し、必要に応じて複数回の治療を行います。
メリットと特徴
- 副作用が少ない:全身投与よりも低用量の抗がん剤で効果が期待できるため、骨髄抑制や消化器症状といった副作用を軽減できます。
- 局所治療に強い:切除困難な腫瘍や再発腫瘍に対してもアプローチ可能です。
- 併用療法が可能:外科手術、放射線療法、免疫療法などと組み合わせて使用することで、治療効果を高められる場合があります。
注意点
- 腫瘍の種類や進行度によっては、必ずしもECTが第一選択になるわけではありません。
- 全身に転移がある場合には、局所療法であるECTだけでは根治が難しいため、他の全身治療との併用が必要です。
- 専用機器と技術を要するため、すべての動物病院で受けられるわけではありません。
まとめ
電気化学療法は、犬や猫の腫瘍治療における新しい選択肢であり、外科手術や放射線治療が難しい症例でも適応できる可能性があります。副作用が少なく、生活の質(QOL)を維持しながら治療を行える点が大きな魅力です。愛犬・愛猫に最適な治療法を選択するためには、腫瘍の種類・部位・進行度を踏まえ、獣医師と十分に相談することが重要です。